令和5年度の経和会全国総会、東京地区経和会総会および懇親会が、7月22日(土)に学士会館(東京都千代田区)において開催されました。
5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行に伴い行動制限緩和されたことを受け、数年ぶりに懇親会ありの開催です(オンライン併用型)。
参加者は会場で約100名、オンラインで約20名。昭和、平成、令和の各世代から多数の参加、また鴨池治、大滝精一両名誉教授にもご出席いただき、コロナ禍以前のような賑やかな雰囲気での開催となりました。
全国総会は、小田中直樹経和会会長からのご挨拶の後、荒井英二事務局長から昨年度の事業実績・決算と今年度の事業計画・予算について説明があり、「会員情報Webシステム」のセキュリティーなどに関する質疑を経て、議案が承認されました。
東京地区経和会総会は、三野耕司会長からの挨拶・説明があり、他地区経和会との連携などについて質疑の後、議案が承認されました。
記念講演会では、講師に感染症の専門家で東京都参与や日本野球機構・Jリーグ新型コロナウイルス対策連絡会議座長等多くの要職をお務めでいらっしゃる、賀来満夫東北大学名誉教授をお迎えし、「新型コロナウイルス感染症がわれわれにもたらしたもの-現状と今後の対応-」というテーマでお話をいただきました。
動物由来のウイルスや自然災害の増加によって感染症のリスクが高まる中、人・動物・環境の健康が密接につながっているという「ワンヘルス」の考え方をご紹介いただき、その実践のためには医療の領域を超えた社会全体での連携が欠かせないことを分かりやすく解説いただきました。「人と人との連携協力が最も強力なワクチン」という言葉が印象的でした。
ご講演のプレゼンテーションには図や動画などが多く用いられ、人類が経験したウイルスとの闘いの歴史、その実態について、賀来先生のお優しい語り口と相まって、直感的に理解が進む内容と感じました。参加者の皆さんは、今回お聞きした内容を家族や友人等大切な人にも共有したいと思われたのではないでしょうか。
また、賀来先生のお話の中で、地震や津波などの災害時は、感染症が「必発」という言葉を使っておられました。21世紀に入って東日本大震災とコロナ禍を経験した私たち日本人。自然災害/感染症に備える心構えを一層強くしているとは思いますが、その両方の同時発生、つまり大規模な自然災害時に感染症が必発であるという認識をはっきりと持っているといえるでしょうか。筆者自身は、大きな気づきをいただきました。
続いて、部屋を替えての懇親会は、前半には賀来先生にもご参加いただき、最年長参加者である土屋富士雄先輩(昭和38年卒)による挨拶と乾杯のご発声によって開会となりました。土屋先輩のご卒業当時、コンピューターに名簿を入力する作業をその先輩方がされていたというお話をされました。当時のコンピューター入力とは、今日のように手軽な作業ではなかったはずです。そのような先輩方の築いてくださった礎があってこそ、今日の会につながっているのだと感慨深く受け止めました。
(懇親会 左から 三野東京経和会会長、新井さん(在校生)、狩野さん(在校生)、
小田中会長、賀来先生、土屋先輩、熊耳東京経和会事務局長、荒井事務局長)
懇親会は1時間ほどの限られた時間になりましたが、世代、立場を超え、リアルでの賑やかな交流が活発に繰り広げられました。
スピーチには阿部晋也経和会新監事ほか、卒業生、学外からの参加者、また在校生2名も登壇し、近況などを共有いただきました。
会の終盤には、会場いっぱいに参加者全員が大きな円陣となって「青葉もゆる」を合唱しました。筆者は卒業以来の「青葉もゆる」に非常に懐かしい郷愁を覚えました。何年たっても歌えるものですね。
最後は、藤原雅子東京地区経和会副会長から中締めのご挨拶を頂戴いたしました。藤原先輩は、IT企業に定年までお務めになられ、現在は東京地区経和会の中心メンバーとしてご活躍でいらっしゃいます。男女雇用機会均等法前の時代から、社会の第一線で活躍されて来た藤原先輩の存在は、筆者にとって憧れと尊敬の的です。「来年もまた会いましょう」というお言葉に再会を期して、会はお開きとなりました。
その後、年次主催または有志にて、2次会へ会場を移された方も多くいらっしゃいました。
総会終了後に実施した参加者アンケートでは、参加者の満足度も高く、次回以降の総会やセミナー等のあり方についても、様々な角度からご意見を頂戴できましたので、今後の経和会活動に生かしていきたいと思います。
近年の経和会の取り組みとして「ダイバーシティの推進」があります。その甲斐あって、令和、平成卒の現役世代からの参加も多く、女性の参加も増えつつあります。
同窓会という場が、同じキャンパスで過ごした思い出を共有する場であると共に、卒業後の多様なバッググラウンド、世代を超えた交流の場としてより重層的に機能していくことが「ダイバーシティ推進」の狙いであろうと理解しています。過去を共有する仲間が集い、共に未来を創っていくプラットフォームとして、経和会が今後さらに進化・発展していくことが期待されます。
私事で大変恐縮ですが、今年から久しぶりに経和会の活動に参加させていただいています。大学卒業後、就職、転職、主婦業、再就職など人生・キャリアの転機をいくつも経験してきました。この先も、転機は訪れると思います。一方で、経和会に参加されている多くの先輩・後輩共に、キャリアの王道を歩まれている方、社会的な地位を築かれている方が多いです。そのような同窓生の皆様を前に、自分が経和会に参加させていただくのは気が引けるような思いがありました。そんな私ですが、実はこの「ダイバーシティ」の言葉に勇気づけられています。人生100年時代、女性の社会進出は今後ますます進み、男女問わず働き方の多様化が進みます。さりとて、子育てや介護、自身の健康など、キャリアとは別の人生の転機は、時に予期せぬ形で訪れることもあるでしょう。
経和会は、人生のどのステージであっても、温かく迎えてくれる場所だと感じています。
経和会のイベントでは、毎回初めての方との出会いがあり、また参加の回を重ねるごとに交流が深まり、親しさが増していく楽しさもあります。さらには経和会の参加をきっかけに、同期と四半世紀ぶりの再会をしたり、再会が先延ばしになっていた友人と交流が活発化したりといった副次効果もありました。
次回は、11月11日(土)に交流セミナー@東北大学東京分室(サピアタワー)が予定されています。皆様とお会いできることを楽しみにしております。
村上夏子(平成9年卒、菊池ゼミ) 2023年8月記